三毛猫のオスは貴重? 同時に生まれた子猫の柄が全部違うのはなぜ?
毛柄によって性格が違う?などなど、猫の毛柄の不思議について調べてみました。
お宅の猫ちゃんは何色ですか?
三毛猫にオスがいないわけ
昔、日本では「幸運の印」とか「魔除け」のために、オスの三毛猫を船に乗せていました。
三毛猫のオスはとても珍しい存在だったので、漁師の間でも「縁起物」をしてかわいがられたのでしょうね。
もちろん、大事な食糧や水をネズミの被害から守るために猫が必要だったというのが重要な理由だったと思いますけど。
では、どうして三毛猫にオスは生まれないのでしょうか?
理由は猫の遺伝子(DNA)の中の染色体の組み合わせによるものなんですね。
染色体にはⅩとYの2種類があり、毛を茶色にするⅩと黒色にするⅩがあり、Yにはありません。
でも白色にするのはⅩにもYにもあります。
ⅩとYの組み合わせではオスが、ⅩとⅩの組み合わせではメスが生まれます。
ということはオス猫は白と茶色と黒のうちの2色だけを受け継ぐことになり、1色か2色の毛色の仔が生まれます。
一方、ⅩとⅩの組み合わせで生まれるメスには、もともとある白色に加えて茶色のⅩと黒のⅩがかさなると3色の三毛が、茶色のⅩとⅩ、または黒のⅩとⅩで白と茶色、白と黒の2色の仔が生まれることになります。
(もちろん、真っ白や真っ黒など一色の仔が生まれることもあります)。
でも、ごくまれに染色体の異常で生まれたオス猫が三毛になることがあります。
確率は何と1/30,000(3万分の1)です!
悲しいことに染色体異常で生まれた三毛のオス猫には生殖能力がありません。
形はオスでも、子孫を残すことができないんです。
猫の遺伝子については【イクスタ】三毛猫「猫の遺伝子」でわかりやすく図解されているのでご紹介しますね!
兄弟猫でも色が違う
野良猫のお母さんが毛色の違う仔猫を4匹も5匹も引き連れていることがありますよね。
お母さんは白猫なのに、お父さんは一体、何色の猫なんだ?と思ったことはありませんか?
実は猫はシーズン(発情期)に、複数のオスと交尾することがあります。
その結果、違ったオス猫の仔を身ごもることもあるので、色彩豊かに仔猫が生まれることがあるんですよ。
猫って不思議ちゃんですよね~。
長靴ならぬソックスを履いた猫
4本足の先が真っ白で、ソックスを履いたような猫ちゃんがいますよね。
なぜ、あんなにきれいに白のポイントが出るのでしょうか?
足先だけ白くなる理由
子猫の色柄は親の遺伝子を引き継ぎますよね。
色を形成する遺伝子には「絵具を上から垂らすように色がついていく」という法則があるんです。
頭 ⇒背中 ⇒お腹 ⇒足 という順番に黒や茶色の色が付いていくので、足先だけ白く残るわけです。
背中が白くてお腹が黒い猫がいないのはそういう理由です。
遺伝子のいたずらでしょうが、足先だけきれいに白くなっている猫ちゃんは貴重ですよね!
シャムネコの足先のポイント
シャムネコ(=サイアミーズ)の特徴と言えば、耳、四肢の先端、しっぽの黒いポイントカラーですよね。
真っ白い体毛の中の黒いポイントは何ともチャーミング。
どうしてこんなにはっきりとポイントカラーが出るのでしょうか?
実はシャムネコが生まれたときは全身、真っ白です。
成長するにしたがって徐々に黒いポンとカラーが現れてきます。
足先だけ白くなる「色の法則」と違って、シャムネコの毛の色素には体温が低い所が黒くなるという特徴があるんですね。
だから生まれたばかりの仔猫=体温が高い=毛色は白 ということになります。
その後徐々に、四肢の先、耳、鼻の周りの温度が下がって黒っぽくなるというわけ。
寒冷地に住んでいるシャムネコや高齢の猫は全体的に黒っぽくなるようです。
面白い仕組みですね。
リビアヤマネコ⇩
猫の模様はもともと一つ
イエネコの色や柄はとてもたくさんありますよね。
白、黒、三毛、茶トラ、サバトラ、ブルー、タビー柄(しましま)など、キャットショーに行くとホントに色々な猫を見られて楽しいですよ~。
と言っても、猫の祖先はリビアヤマネコで、「茶色のしましま」だけでした。
もとは砂漠にすんでいたリビアヤマネコは、目立たないように狩りをするために砂漠の色に近い色柄でした。
なぜ人と暮らすようになって色、柄が増えたのか?
もともとは人が穀物を倉庫に貯蔵するようになってからが、猫(リビアヤマネコ)と人間の出会いです。
人間は穀物倉庫に出没するネズミに困っていました。
そんな時、ネズミを狙ってリビアヤマネコが現れました。
猫にとってはいい狩場になりますし、人にとっては不衛生なネズミを退治してくれる優秀なハンターとしてありがたい存在になりました。
それに猫の風貌が何とも言えず可愛らしいことも、人間に愛される理由になったと思われます。
ネコと人の利害関係が一致して、一緒に暮らすようになったんですね。
人と暮らすようになると、生まれた子猫の中から人懐こい性格の仔や突然変異で生まれた、色や柄が違いの仔が手元に残されて繁殖していきました。
野生では真っ白な毛は目立って狩りに成功する確率が低くなりますが、人にとっては愛らしい存在になります。
そんな風にして、イエネコの原型であるリビアヤマネコの「茶トラのしましま模様」以外の色や柄の猫が徐々に増えていったんですね。
猫の模様とその性格
猫に色々な色や柄があるように、その性格にも個性があります。
では、猫の模様と正確に関連はあるでしょうか?
白猫は気が強く、黒猫は甘えん坊などといわれていますが、実は真面目に研究した学者さんがいらっしゃます!
調査は、東京農業大学で首都圏の飼い猫244匹を対象にして飼い主にアンケートして、2010年にまとめたそうです。
以下、元東京農業大学教授で、動物学者の大石孝雄さんの研究についてご紹介しますね。
調査は、茶トラ、茶トラ白、キジトラ、キジトラ白、三毛、サビネコ、白、黒、黒白の9種類を対象に、「おとなしい」「おっとり」「甘えん坊」「気が強い」「賢い」など17項目について5段階評価してもらい、平均値を出しています。
数字が大きいほど、その性格の傾向が強いと考えられます。
白猫と黒猫
白猫は賢いと言われます。
野生の中で白は目立ち、敵に襲われやすいことから知恵を絞ってうまく生き延びる必要があったからかもしれません。
一方、黒猫は甘えん坊の仔が多く、一度飼うと、とことんハマってしまう人も多いとか。
三毛はお姫様
マイペースで人の好き嫌いが激しく、甘えん坊でありながら賢く気が強い面があるようです。
私が飼っていた三毛も子供が嫌いで、甘えん坊なのにマイペース、気に入らないと人でも猫でも猫パンチを食らわせる気の強さがありましたね(=^・^=)
一説によると「ネズミ捕り」が一番うまいのは三毛猫であるというデータもあるようですよ。
茶トラ、茶トラ白、キジトラ、キジトラ白
野生の猫に一番近いトラ柄に多いのが「甘えん坊」の仔です。
大人しく、おっとりしていて温厚なポイントが高く、攻撃性が低いのもトラ柄の特徴です。
キジトラとキジトラ白は「人懐こい」「好奇心旺盛」「賢い」面が目立ちますね。
キジトラの毛柄は野生の猫と同様、身を隠すのに適しているので自然界で生き延びやすく、ハンターとしても優秀です。
その利点がイエネコにも引き継がれているのでしょうね。
茶トラはフレンドリー、キジトラは野生の性格を色濃く残しているといわれますが、どちらも食いしん坊なので、太りすぎに注意が必要です。
サバトラのデータはありませんが、大石孝雄先生の経験上、キジトラより消極的であるとか。
もちろん、すべての猫がこのデータに当てはまるわけではありません。
育った環境にもよりますし、飼い主さんとの相性や接し方、猫の個性もあるからです。
個の猫の色柄にはこういう傾向があるという程度で認識しておけば、猫の譲渡会の面会の時に役に立つのではないでしょうか。
まとめ
猫の色柄には実にたくさんのパターンがあることをご紹介しました。
純血種と違ってミックス猫は生まれるまで、どんな色柄が出てくるのかわかりません。
猫の譲渡会や猫カフェで毛色、柄の全く違う仔たちに会うたびに、びっくりさせられます。