Release: 2022/01/12 Update: 2023/03/16
生活保護でも猫が飼える?
値上げのラッシュ、雇用の衰退、病気の蔓延などで経済的に苦しくなる中、生活保護申請する方も増えているようですね。
そんな時、気になるのが「ペットを手放さなければならないか?」ということ。
生活保護者はペットを飼うことを許されないのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
実は市の福祉課の方に伺ったところ、「生活保護費内でお世話できるならペットがいても問題ない」ということです。

生活保護の制度とは?

生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障してくれる福祉制度です。
病気や高齢で働けない、持ち家や預貯金が底をついたなど、暮らしていけなくなった時のための救済処置なんですね。
また、「自立支援」を目指して何とか早く生活保護から脱却できるようにするという目的があります。

なぜペットがいてもいいの?

ペットとはいえ、今は実の子供や家族のように一緒に暮らしてきたわけですから、生活保護になったとたん、ペットと引き離されてしまうというのは生活のハリを失ったり、生きがいをなくしてしまうことにもなりかねません。
むしろ、ペットと一緒にいることで精神的健康によいとされ、昔のように「ペットを飼うのは贅沢」という考えから「ペットがいることで精神状態が安定し、自立向上に有効である」と判断されるケースもあるんです。
ですから、ペットがいるという理由だけで生活保護申請して却下されるということはありません

犬や猫の生活費は上乗せされないの?

生活保護費はあくまでも「最低限度の文化的生活を送るための制度」なので、たとえ犬や猫が家族同然と言えどエサ代、医療費などは補助されません。
支給された生活保護費の中で、ペットの飼育費を賄わなければならないんですね。

行政から指導されちゃう場合もあるの?

一緒に暮らしているペットでも、例えば大型犬であるとか、多頭飼いしている場合などはペットフードや医療費、去勢避妊手術代などが高額になるので、ケースワーカーから指導されることがあります。

多頭飼いの猫たち

生活保護の条件は5つ!

生活保護を受給申請する前に、次の5つに当てはまるのか確認しておきましょう。
※以下、「生活保護の条件は5つ!生活保護費や受給前に確認したい申請の流れ」より抜粋。

収入の基準

収入が厚生労働省が決めている「最低生活費」の基準を下回っていることが条件となります。
生活していくのに十分なお金を得ることが不可能な方のための制度ですから、収入が少ない方でないと利用できません。

補助の対象となるもの

①年齢別に算出される、食費や被服費など個人的費用
②世帯人数で算出される、光熱費など世帯共通の費用
③家賃(上限あり)
④教育を受けるために必要な費用
⑤自宅介護にかかった介護費の平均月額
⑥診療などにかかった医療費の平均月額

病気やケガなどで働くことが困難な場合

生活保護は、家族全員がそれぞれの能力や財産をすべて使って、それでも生活できない場合に利用できる制度です。
心身ともに元気で働ける方は仕事を得るために尽力しなければなりません。
病気やケガも目に見えるものばかりでなく、精神的疾患(うつ病、パニック障害、高次脳機能障害など)で、就業が難しい場合、医師の診断書があれば生活保護受給の対象になることがあります。

土地や家屋に資産を有しないこと

生活保護を受給するより先に「利用し得る資産」を活用して生活の維持に努めなければならないので、売れるものは売って生活費に充てなければなりません。(一部、例外的に持ち家があっても保護の対象となることがある)
資産には家・土地などの不動産、車・バイク、預貯金なども含まれますが、仕事で車を使っている場合や、駅まで長距離なのにバスなどの公共機関が無いため、車がないと生活できない場合などは手放さなくても生活保護を受給できることがあります。

親族から援助を受けられない場合

「扶養義務者からの扶助」は生活保護より優先して受けなければならないので、家族や親族などから十分な支援が受けられる方は生活保護の対象にはなりません。
つまり、直系血族である、両親・子供・祖父母・孫・兄弟姉妹や三親等内のおじ・おば・姪・甥などから扶助を受けられる方は、生活保護より優先して援助を受けなければならないということですね。
直系親族などがいても生活援助が受けられなかったり、最低生活費に満たないお金しか得られないときは、最低生活費に足りない分を生活保護費として受給できます。

飼われたネコはしあわせか?

実際に生活保護を受けている方、数名に伺ってみたことがあります。
「あなたは幸せですか?」
この質問にはみなさん「イエス!」と答えられましたね!
「猫を飼うことで社会とのつながりができる」「自分で猫の世話をしていることで、役に立つ人間だと思えてくる」「暗くなりがちな気持ちを明るくさせてくれる」「癒しになってくれる」「猫がいるから頑張ろうと思う」「寂しくない」など、猫を飼うメリットは多いようですよ。
では、猫のほうはどう思っているのでしょうか?
猫はしゃべれませんから、彼らの本当の気持ちは知ることができませんが、十分にご飯があって清潔な場所で大切に育てられれば幸せと言えると思います。

猫が不幸になるときって?

生活保護を受けていようがいまいが、責任と愛情を持って猫を飼うのはいいことです。
でも・・・
猫はいつ病気になったり怪我をするかわかりません。
急な病気やケガ以外にも1年に一回の予防接種や健康診断などでお金がかかります。
検査を含めて手術代が20万円を超えることもあります。
仔猫を迎え入れたときから15~20年飼い続けるとして、医療費のほかにもエサ代、キャリーケースやおもちゃ、ケージ、爪とぎ、トイレなどもろもろの費用も併せて猫1匹にかかる「生涯費用」は、約100万円と言われています。
猫一匹に対して100万円の預貯金がある場合は別として、無い場合は「ペット保険」に加入することをおススメします。
加入時の猫の年齢に寄りますが、毎月数千円の積み立てと考えて、いざという時のために備えるものと考えるといいと思います。
ペット保険の種類によってはかかった医療費の50%~100%の返戻がありますが、当然病気も怪我もせずに生涯を終えた場合は掛け捨て保険になることも覚悟してください。

まとめ

生活保護であろうがなかろうが、誰でも猫を飼うことはできます。
でも、一生を共にして具合の悪いときは病院にも連れて行って少しでも体にいいキャットフードをあげるということを考えると、生活に困窮している方や、金銭的に余裕がない方、健康に不安のある方、ご高齢の方は猫は飼わないほうがいいと思います。
厳しい言い方をしますが、猫が病気になったとき満足いく治療を受けさせられないと、きっと後悔すると思うんです。
お金がすべてではありませんが、いざというときに支払える余裕がないと具合の悪い猫を見るのは辛いですし、そのまま病院にも連れて行けずに亡くなってしまったら自分を責めることにもなります。
生き物を飼うとお金がかかるのは事実です。
また、自分が高齢になったとききちんと最期までお世話できるかどうかも重要な問題です。
自分と猫、両方の一生の幸せを考えて「飼わない選択」をするのも大切なんですね。


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