エサをやると猫が増えるのは間違い
「猫にエサなんかやるから野良猫が増えるんだ!」という声をよく耳にします。
でも、猫にエサをやったら増える、というのは大間違いです。
このサイトでは「野良猫」ではなく「ホームレス猫」と呼ぶことにしますが、このホームレス猫や地域猫にエサをあげている人を快く思わない人が信じて疑わないのが、「猫にエサをやる=猫が増える」という間違った認識です。
当然ですが、猫同士が交尾しないと、子猫は生まれてきません。
猫のごはんと猫のエサ
牛や馬、飼っている昆虫に上げるエサと違って、猫ちゃんにあげるのは「ごはん」と言いますよね。
国語辞典で「餌」を引くと次のような文章が出てきました。
① 鳥、獣、虫、魚などに与えて飼育するための食物。また、生きものをおびき寄せて捕える目的で用いる食物。えさ。
【精選版 日本国語大辞典「餌」の解説】より
猫は鳥や虫、魚ではないので「獣」の部類に入るんでしょうが、猫って「獣=けもの」なんでしょうか?
野生に生きるネコ科の動物ならともかく、イエネコが獣だとは思えませんよね。
ちまたで販売されているフードも「ペットフード」「ねこのごはん」と表示されているものがほとんどで、「餌=エサ」なんて見かけませんし、家庭で飼われている猫ちゃんに「ごはんだよ~」と声をかけても、「エサだよ」とは言わないと思います。
でも、ホームレス(猫野良猫)には「エサをやる」と言いますから、飼いネコと野良猫の違いは人の目線からどう見えるかなのだと実感します。
ゴミ置き場を荒らすのはネコではなくカラス
お住まいの地域によっては、近所に野良猫が集まって、うるさいし汚い、と迷惑をこうむっている方もいらっしゃいます。
普段は大人しい猫ですがシーズンと言って発情期になると、ものすごい音量で鳴く猫に安眠妨害された経験のある方もいらっしゃるのでは?
中には「ごみ置き場のゴミを漁って散らかして困る」とおっしゃる方もいますが、これは間違いです。
鍵のかかるゴミ収集場に入り込むことはできないし、ネットで覆われたごみ袋を器用に突いて中身を取り出すなんていうこともできません。
こういう手の込んだ悪事を働くのはほとんどの場合、カラスなんです。
カラスは知能の高い鳥でして、ちょっとした仕掛けなら簡単に外してしまうんですね。
ゴミ置き場が荒らされているなら犯人はカラスであることが多いです。
不幸な猫を増やさないために
去勢・避妊手術をしていない猫は発情期(シーズン)が来ると、交尾を繰り返して毎年何匹も仔猫を生んでしまいます。
そこで、地域猫として人との共存を考えている地域のボランティアさんたちはホームレス猫を1匹1匹捕獲して、去勢・避妊手術を受けさせ、て元いた場所に戻す運動をしています。
去勢・避妊手術を受けさせた猫の片耳に「Ⅴ字カット」をいれて、間違って何度も捕獲されないように印をつけておきます。
(もちろん、手術中の麻酔が効いているときの処置で痛みを感じさせないよう配慮します)
こうして手術された猫が元の場所に戻っても、交尾して仔猫が生まれることはなくなるのですから、猫は一代限りで終わる=猫は増えないのです。
間違ったエサやりの方法
世の中には猫好きの人ばかりが住んでいるわけではありません。
ホームレス猫にエサをあげるのはいいのですが、その後始末をしないのでは却って近所迷惑になってしまいます。
ネコにも人にも優しいエサの上げ方
毎日決まった場所に猫のエサを運んでいるなら、あげ方をちょっと工夫してみましょう。
ウェットフードよりドライフード
猫缶と呼ばれるウェットフードは匂いが強く、柔らかくて食べやすいことから猫に大人気のごはんですよね!
でも、食べ残されたウェットフードは腐敗しやすく、不衛生です。
猫が食べ終わるまで待っていて掃除をするか、腐りにくいドライフード(カリカリ)をあげるようにします。
また、ドライフードの入った袋からザザーっとまき散らすのではなく、できればお皿に盛ってあげるほうが衛生的。
エサがたっぷりあっても、ちょっとずつ残すのが猫の習性です。
食べ終わったら片づけるようにすれば、ホームレス猫にエサをあげるのを快く思わない人も不快に感じないでしょう。
まとめ
猫のごはん、ホームレス猫に上げるエサについてまとめてみました。
ホームレス猫が増えるのはエサをあげるからではなく捨てる人がいるから。
元々は無責任に猫を捨てる人が一番悪いと言えますね。
事情によって猫を飼えなくなったり、飼い主が高齢で入院したり亡くなったりして居場所を失う猫もいます。
猫ちゃんだって好きでホームレス猫になったわけではないんです。
飼い主を失った猫ちゃんたちを嫌って追い払うだけじゃなく、地域猫として温かく見守りながら人と共存する社会ができるといいと心から思います。